ドイツの窯、Fraureuth(フラウロイト)のフィギュリン「台座の上で花を持つプットー」。
釉下彩のこの時代らしい色合い、そしてアールデコの幾何学的な表現、そしてなにより花束を重そうに持つプットーの姿と、その表情。
デコらしいデザイン性や色合いはこの時代らしいつくりですが、なによりもこの姿勢と表情が独特です。古典的だと花束は豊穣や幸福感的な意味合いが強く、プットーは無邪気でその花束で戯れるような形で表現されますが、その真逆で、花束は非常に重たいもののように表現され、それを持つプットーの表情は無表情に近いです。
1920年代という時代背景を考えれば、第一次世界大戦直後、敗戦国となったドイツ社会において、新即物主義(Neue Sachlichkeit)が流行した時期です。それまでのような誇張された感情表現や理想化された人間像が忌避され、感情の抑制、冷静で即物的な表現が重視されました。この人形の姿勢や表情も、そうした同時代的感覚を色濃く反映したものと考えられます。
フラウロイトは一時期はドイツでもトップクラスの大手磁器工房にもなり、芸術部門も備えていました。デザイナーからの下請けで作ることもありましたが、この人形はフラウロイトの自社デザインによるお品です。